くらしのおはなし
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【昆虫博士が教える】子どもにおすすめの虫捕り網の選びかたと使いかた

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猛暑続きの夏も終わり、秋らしい季節も駆け足で通り過ぎてもう師走。虫が少なくなったこの時期になると、子どもと一緒に近くの公園に虫採りに行った夏の日の思い出がよみがえって来るのではないでしょうか。そして一生懸命虫を採る成長した子どもの姿を見て、来年はもう少し本格的な道具をそろえてあげたい、飛んでいるトンボや木の上にいるセミを採らせてあげたい、そして採った虫をじっくり観察させてあげたいという思いもあると思います。

そこで今回は、NPOの活動を通して長年子どもたちに虫捕りや虫の生態について教えてきた私が、今まで使っていた虫捕り網や虫かごよりも1ランク上の品を紹介するとともに、その商品を購入し、実際に子どもに使ってもらった感想をお伝えします。

こんな方におすすめ
  • 子どもが大きくなってきたので、大きい虫とり網を買いたい
  • 網の選び方を知りたい
  • 網の使い方や虫の採り方を知りたい

虫捕り網を選ぼう

虫捕り網は100円ショップなので売っているような小さな子どもでも使えるようなものから、プロが使うような高価なものまで、色々なメーカーから様々なタイプの網が販売されています。


100円ショップの網と虫かご

同じような網でも、網の口径や竿の長さ、 網の深さ、持ち運びやすさなど、使い道に合った網を選ぶと良いでしょう。

   網の口径が大きければ輪が広いため、虫を捕まえやすくなります。ただ、セミのような枝先に止まっている虫を捕まえるときは、あまり口径が大きいと枝に引っかかってしまいます。

竿の長さも、地面にいるチョウやバッタなどを採る時は短めの竿が便利ですが、高いところに飛んでいる虫を採る時は竿の長い方がおすすめです。竿の長さは伸縮可能のものがありますので、持ち運びに適しているものを選ぶと良いでしょう。

また、水辺のトンボなどを採る時は網が濡れてしまうことがあるため、メッシュタイプの、濡れてもすぐに乾く網が良いでしょう。

虫取り網を選ぶポイント
  • 網の口径や竿の長さ、 網の深さ、持ち運びやすさなど、使い道に合った網を選ぶと良い
  • 【口径】大きいと虫を捕まえやすいが、セミなど枝に止まる虫には適さない
  • 【長さ】伸縮可能なものがおすすめ。
  • 【網】メッシュタイプだと水辺の虫を採る時に安心

網の使い方と採り方を学ぼう

どんなに機能性が良く価格の高い網を使っても、網の使い方が間違っていると、網が破れたり壊れることがあります。また、虫が死んでしまうことがあります。そこでここでは、正しい網の使い方を紹介します。

たとえば、春になって子どもと一緒に近くの公園に行ったとします。タンポポの花にはモンシロチョウが蜜を吸い、近くではシジミチョウが飛んでいます。私の経験上、子どもは花に止まっているモンシロチョウを採る時は、恐らく、上から網を振り下ろしてかぶせるでしょう。しかしあまり強く振り下ろすと、網の枠がチョウに当たって死んでしまいますし、柄と竿のつなぎ目が折れてしまうことがあるので、焦らずゆっくりと網をかぶせる練習をすると良いでしょう。

また飛んでいるチョウは動きが速いので上からかぶせるのではなく、後ろからすくうように採ります。この方法は、飛んでいるトンボを採る時にも使えますが、特にトンボは飛ぶスピードが速く眼が良いので、後ろから素早くすくってください。

木に止まっているセミを採る時は、あまり網の口径が大きいと枝にぶつかってしまうので、口径が小さく少し長い竿の虫捕り網が良いでしょう。セミは警戒心が強く鳴いているときはすぐに逃げてしまうので、そっと近づき網をかぶせます。鳴いていないセミは、メスか樹液を吸っている時なので、こちらは捕まえやすいです。

葉っぱに止まったモンシロチョウ
木に止まったアブラゼミ
採り方のポイント
  • 【止まっているチョウやバッタ】焦らずゆっくりと網をかぶせる
  • 【飛んでいるチョウやトンボ】後ろから素早くすくう
  • 【木に止まっているセミ】鳴いていないセミに網をかぶせる

採る前に虫の習性を知ろう

前の章では、網の使い方を書きましたが、あまり追いかけ回さなくても採ることのできる虫がいます。

トンボの習性

例えば、シオカラトンボや赤トンボの仲間は、自分の好きな場所が決まっているので、一度飛んで逃げても、また同じ枝の先に戻って来ることがありますし、オニヤンマやギンヤンマは同じコースを行ったり来たりするので、同じ場所でじっと待っていれば採ることが出来ます。

チョウやバッタの習性

アゲハチョウの仲間では、蝶道(ちょうどう)と言って、チョウの通り道が決まっていますので、通り道で待っていると次々とチョウがやって来ます。バッタやコオロギの仲間は、草の中を歩くと驚いて出て来るので飛び出したところを捕まえます。

カブトムシやカナブンの習性

カブトムシやカナブンは樹液の出る木にとまっているいることが多いです。樹液を吸っているカブトムシやカナブンなども、少し待ってから、採りやすい場所に止まったところをゆっくりと網をかぶせれば、簡単に捕まえることが出来ます。ただし、樹液が出ている木は、昼間はスズメバチがいるので十分注意してください

同じ場所に止まるアキアカネ
樹液に来るスズメバチに注意
虫の習性
  • 【トンボ】好きな場所が決まっている
  • 【チョウ】蝶道という決まった通り道がある
  • 【バッタ】草むらを歩くと驚いて飛び出てくる
  • 【カブトムシ・カナブン】樹液が出る木に集まっている

採った虫を虫かごに入れよう

虫かごはプラスチックの網目のものや飼育ケース的なもの、ナイロン製で細かい網目のものがあります。プラスチックで網目のものは小さな虫が隙間から逃げてしまうことがあるため、中が見えるプラスチック製の飼育ケース型が観察しやすく、ひもがついていて肩からぶら下げられるタイプがお勧めです。水の中にいるトンボのヤゴも、水草や濡れた落ち葉を一緒に入れてあげれば、水を入れなくても持ち帰ることが出来ます。

このほかにも、昔ながらの金網製のもの、竹ひご細工のものがありますが、こちらは実用的というより装飾品ですね。

プラスチックの網目の虫かご
竹ひごや金属製の虫かご

さて、採った虫を小さな虫かごに入れるとあばれたりするので、注意が必要です。バッタやセミなどは、虫かごの中に草を入れて止まるところを作ってあげると落ち着きます。また大きなチョウやトンボは翅が弱く、あばれて翅が破れてしまうため、紙を三角に折ってその中に虫をつつんでからかごの中に入れると良いでしょう。虫の体力を消耗させないためにもこの方法は有力です。

翅の切れやすい虫は三角に折った紙につつむ

採った虫を観察しよう

虫のからだは、頭・胸・腹の3つに分かれ、頭には触覚(しょっかく)と口、大きな複眼(ふくがん)と小さな単眼(たんがん)があります。複眼はものを見る眼で、単眼は明るさを感じる眼です。また胸には4枚の翅と6本の足がついています。 

虫捕りの時に使った、プラスチック製の飼育ケースのままでも観察できますので、虫メガネを使って虫の体のつくりを観察してみてください。

 またチョウは、ストローのような口をしているので、飼育ケースから出して指をチョキにして翅をそっとつかみ、楊枝などを使ってゼンマイのような口を伸ばし、ティッシュペーパーに染み込ませた砂糖水や蜂蜜を与えると吸ってくれます。

 トンボは肉食ですので、同じように翅をそっとつかみ、口にハエや小さなバッタを差し出すと食べてくれますし、割りばしの先に水をつけて口に入れると飲んでくれます。

 チョウやトンボは、カブトムシやコオロギの仲間のように飼育することは難しいですが、餌や水を与え、干物を作る時に使うような大きな網の中に入れておけば、少しの間なら生きています。しかしそのままでは卵を産み子孫を残すことが出来ないので、観察が終わったら、早めに捕まえた場所に逃がしてあげましょう。

虫メガネを使った観察
干物づくり用の網

虫捕り網と虫かごを使ってみた

「虫捕り網を選ぼう」のところでも書きましたが、下の表のように様々な種類の虫捕り網が販売されています。価格は変動がありますがすべて税込み価格です。

虫捕り網の比較表

網の
口径
(cm)
網の
深さ
(cm)
柄の長さ
(cm)
水中の
使用
材質参考価格
池田工業社イージーネット
丸型7770
205038~86 (伸縮可能)可能柄…ステンレス
網…ポリエステル
605円
Reekey
虫取り網
285038~150 (伸縮可能)可能柄…ステンレス
網…ポリエステル
2,980円
虫捕り網(大型)  FieldNew 4078100~170 (3段伸縮式)魚採り網付柄…ステンレス
網…ナイロン
2,952円
エーワン昆虫ハンター CarryBタイプ365565~150 (3段伸縮式)*柄…アルミ 網…ナイロン2,659円
ナリカ  G40-3210-01365559~100 (伸縮式)*柄…アルミ 網…ナイロン3,960円


私が選んだのは「Reekeyの虫取り網」です。選んだ理由は、網の口径はやや小さいものの竿を縮めた長さが38cmで、リュックサックにも入る大きさだからです。また、網の枠も折り畳みが出来ますし、網の材質もポリエステルのメッシュタイプで水にぬれてもすぐに乾きます。竿もステンレス製で、途中で長さを変えることが出来ますし150cmまで伸びるので、網の大きさも含めると180cmほどになり、高い木の上にいるセミも捕まえることが出来ます。

たたんだ状態
組み立てた状態

虫かごも、色々なメーカーから販売されていますが、株式会社マルカンの製品で「むしカーゴ」(165mm×80mm×高さ100mm)という肩掛けひも付きの飼育容器タイプのものを、700円(税込み)でホームセンターで見つけました。

肩掛けひものついた中が見える虫かご

使ってみた感想

虫捕り網も虫かごも、対象は5~6歳以上と書かれているメーカーがほとんどなので実際に購入し、我が家の5歳の子ども(やご)に、虫の習性と採り方を説明したあと実際に使ってもらい、感想を聞いてみました。

やご
やご

ちょっと重かったけど、網が長くなったので虫が採れたよ!

バッタを捕まえる時は、ゆっくり網をかぶせたよ!

虫捕りの様子
虫捕りの様子

まとめ

子どもに虫捕り網と虫かごを使ってもらった日は、12月とは言え風も穏やかな暖かな日でした。近くの公園の陽だまりで、イナゴやオンブバッタ、テントウムシを見つけて採ることが出来ましたが、早く春になってチョウやトンボを採らせてあげたいと思いました。

 最近、両親は虫が苦手なのに子どもは虫が大好きで、ダンゴムシやイモムシを採ってきて見せるので困っているという方もいると思います。しかし、子どもが生きものに興味を持ち観察することは好奇心だけでなく、生きものの命の尊さを知り優しさを育くむ貴重な成長の時期でもありますので、一緒に虫捕りをしながら、ぜひともその気持ちを伸ばしてあげて欲しいと思います。

虫とりの様子
ABOUT ME
とんぼ
とんぼ
東京都出身。 葛飾区で幼少期を過ごし、子どもの頃から虫が大好き。 虫の中でも一番好きなものはとんぼで、30歳の頃から日本トンボ学会へ入会。
仕事をしながら自然保護を目的としたNPO団体の設立。ほかにも幼稚園や保育園、小学校や大学で虫に関する講演を行い、仕事をリタイアした現在もむしに関する活動を続けています。
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