秋の昆虫採集~秋になってもまだまだ虫たちはいる~
虫の季節と言えば春から夏、セミやカブトムシ、アゲハチョウを見ることが出来た季節は終わりましたね。でも秋から冬に見ることのできる虫もいるのです。爽やかな秋晴れの日には近くの公園や草原に行って、虫たちを探していてはいかがですか。虫が大好きな子どもたちに、秋に見られる虫たちを紹介します。
秋の虫をさがそう
近くの庭や公園で、春から夏に見ることのできた虫たちは、どこにいってしまったのでしょうか。
夏の間、はしゃぎまわる様に鳴いていたセミたちの声はぴたりと止み、コオロギたちの歌声に変わりました。そのコオロギたちも10月に入ると鳴き方が弱々しくなってきたように感じます。
しかし、秋から冬になっても私たちの周りで見ることのできる虫はまだいるのです。では、これからの季節はどんな虫たちと会えるのでしょうか。
今回は、私の住んでいる千葉県東葛地域付近でこれから見ることのできる虫の紹介と、その虫たちはどこを探せば見つかるのか、何を食べるのか、本や図鑑には出ていない私の経験や飼育例なども含めて紹介していきます。
秋にはどんな虫が見られるの?
早速ですが、これからどのようは虫たちに会うことが出来るのでしょう。これからの時期に見ることのできる虫を表にまとめてみました。
虫の名前 | 見られる時期 | 見ることのできる場所 | 食べ物 |
---|---|---|---|
ヤマトシジミ | 11月まで | 公園や庭の花壇の花 | 花の蜜 |
モンシロチョウ | 11月まで | 公園や庭の花壇の花 | 花の蜜 |
キタキチョウ | 成虫で冬を越します | 公園や庭の花壇の花 | 花の蜜 |
キタテハ | 成虫で冬を越します | 公園や草原の花 | 花の蜜 |
アカタテハ | 成虫で冬を越します | 公園や草原の花 | 花の蜜 |
アキアカネ | 11月下旬まで | 電線や木の枝の先 | 生きた虫 |
アジアイトトンボ | 11月下旬まで | 水辺近くの草原 | 生きた小さな虫 |
オツネントンボ | 成虫で冬を越します | 植え込みや藪の陽だまり | 生きた小さな虫 |
ナミテントウ | 成虫で冬を越します | 木の皮の割れ目 | アブラムシ |
オンブバッタ | 11月まで | 花壇やイネ科の草原 | イネ科の葉 |
ショウリョウバッタ | 11月まで | ススキなどのイネ科の草原 | ススキなどの葉 |
コオロギの仲間 | 10月下旬まで | プランターや落ち葉の下、草原 | 葉、死んだ虫 |
カマキリの仲間 | 10月下旬まで | 花が咲いている植え込み | 生きた虫 |
オカダンゴムシ | 秋~来年春 | プランターや落ち葉の下 | 落ち葉、石 |
電線や木の枝に止まるのは、アキアカネです。日本には20種類ほどの赤トンボの仲間がいますが、平地の田んぼや学校のプールで初夏に生まれたアキアカネは、夏の間は涼しい山の上で過ごします。夏に山や高原で見た薄いオレンジ色のトンボがアキアカネです。
また、庭のプランターや歩道の植え込みの中に咲くカタバミという花があります。ヤマトシジミという小さなチョウの幼虫はこの葉を食べるので、比較的どこにでも見られるチョウです。シジミチョウの名前の由来は、シジミ貝の貝殻を広げた形に似ているのでこの名が付きました。
また、オンブバッタやショウリョウバッタはススキやエノコログサなどのイネ科の草を食べるため、イネ科の植物の草に止まっていることが多く、コオロギの仲間は地面の草や落ち葉の下にいます。秋になるとコオロギは昼間でも鳴いていますから、鳴き声のするところにガサガサと音を立てて入っていくと驚いて出てくることがあります。
秋になるとセイタカアワダチソウやセンダングサなど黄色き花が目立ちますね。この花は外来種ですが、花が少なくなった秋の貴重な蜜源となっているので、チョウやミツバチが訪れます。また、これらの虫を狙いにやってくるのが、昆虫界のハンターと言われるカマキリです。
虫にも体温はあるの?
朝晩はだいぶ気温も下がってきましたが、昼間は風も心地よく虫たち猛暑から解放され過ごしやすい季節です。虫もヘビやカエルと同じく気温によって体温が変化する変温動物ですから、気温の変化は苦手です。寒い日は体が動かなくなってしましますし、暑すぎても体温が上昇してまた動けなくなってしまうのです。
虫たちが快適に過ごすことのできる気温は私達と同じ20℃から25℃と言われています。晩秋になって朝晩の気温が下がると、石の上や落ち葉の上に止まっているチョウや赤トンボを見ることがありますが、これは体温を上げているためです。
虫を採るには何が必要なの?
高いところにいるセミや空を飛び回るトンボなどを採るときは、柄の長い網が必要になりますが、シジミチョウや低いところに止まるトンボを採るときは、100円ショップで売っているような小さな網で十分ですし、バッタやコオロギは素手で捕まえることもできます。
虫かごは網目のものよりプラスチック製で、中が見えるタイプが観察するのにおすすめです。ただ、チョウは翅についた鱗粉が落ちてしまったり、トンボはあばれて翅が切れてしまうので、観察したら逃がしてあげましょう。
虫はどのように持てばいいの?
素手で捕まえるときは、手のひらをかぶせるように捕まえますが、捕まえた虫を持つときは翅が切れたり、かまれたりすることがあるので注意が必要です。
トンボはかまれるので、指でチョキを出して翅をそっとつまみます。バッタも胸(背中の部分)を、指をチョキにしてつかみます。カマキリは鎌で引っ掻かれると痛いので、首と鎌の付け根を一緒につかみます。
どんな虫なら飼うことができるの?
チョウの多くは花の蜜を吸いトンボは飛び回り生きた虫を食べるので、飼うことが出来ませんが、バッタやコオロギは簡単に飼うことが出来ます。100円ショックで売っているプラスチックの虫かごより大きめのプラスチック容器がいいでしょう。最初に砂や土を入れます。ただアリやダニが入っている場合がありますので、必ず何日か晴れの日に天日干しをするとよいでしょう。ホームセンターに行くと「スズムシマット」というのが売っているのでそれなら問題ありません。
土の量は3cmほど、コオロギなどが産卵管を土に差し込んで卵を産めるような量です。あとコオロギは、石やトイレットペーパーの芯などを使って、隠れるところを作ってあげましょう。バッタの仲間は、イネ科の草を入れてあげます。
オンブバッタはエノコログサなどの柔らかい葉、ショウリョウバッタはススキなどの硬い葉を好んで食べます。
飼うことのできる数ですが、20cm×15cmほどの容器の場合、ショウリョウバッタでは雄雌1匹ずつ、オンブバッタで雄雌2匹ずつ、コオロギの場合は雄雌2匹ずつが目安です。コオロギは雄が2匹いると、雌を呼ぶ優しい鳴き声と雄同士が戦う激しい鳴き声を聞くことが出来るのでぜひお試しください。
バッタやコオロギは何を食べるの?
ところでバッタやコオロギは何を食べるのでしょう。自然界ではバッタはイネ科の植物の葉を食べますが、それに比べてコオロギは雑食性です。自然界では草も食べますが死んだ昆虫や動物のフンなども食べています。家で飼う場合は、野菜や鰹節などを与えますが、これらのほかにどんなものを食べえるか試してみるのも面白いと思います。
食べたもの・食べなかったもの | 食材 |
---|---|
食べたもの | キュウリ、ナス、キャベツ、白菜、鰹節、煮干し、ご飯、ハム、チーズバーガー(パン・ハンバーグ・チーズ・レタスは食べましたが、ピクルス・ケチャップがついている部分は食べませんでした)、ケンタッキー・フライド・チキン(骨の周りについた肉はきれいに食べました) |
食べなかったもの | ピーマン、シソの葉、玉ねぎ、漬物、ミートソース、マスタードなど、味の濃いものや辛いもの |
これから試してみたい食べもの | スイカ、肉まん、あんまん、ホットケーキ、スルメイカ、メンチカツ |
これは私がエンマコオロギを飼った時に、どんなものを食べるか試してみた表です。見ていただくとお分かりのように、「えっ、こんなものも食べるの?」というようなものを食べます。中でも一番喜んだのがケンタッキーフライドチキンでした。意外とグルメなのですね。皆さんも、どんなものを食べるか試してみると面白いですよ。
冬でも虫はいるの?
さて、秋も深まり木枯らしが吹くようになると、虫たちもだいぶ見られなくなりますね。虫たちの多くは、蛹や幼虫、卵で冬を越すことが多いのですが、キタテハやキタキチョウ、ツチイナゴなどは、親のまま冬を越すのです。
冬でも風のない暖かな日は飛び回わったり、枯草の上や干した布団の上で翅を広げて日光浴をしている姿を見ることが出来ます。
まとめ
これから見ることのできる虫たちについて書きましたが、参考になりましたでしょうか。
晩秋や冬になっても虫に会えることは、虫好きな人にとってはとても嬉しいことです。しかし地球温暖化によって、本来冬を越せなかったアキアカネが1月に目撃されたり、南の国に生息するチョウが、11月でも千葉県東葛地域で普通に見られるようになってしまったのです。
毎年約束したかのように決められた時期に咲く花、そしてそこに訪れる虫たち、そんな当たり前のような、季節の移り変わりがなくなってしまうのは淋しいですね。